<前略>
■オタク=日本文化の×
オタクは「一部の世界にタコツボ的に入れ込んで、これに熱狂する」という特性を備えて
いる。つまりやたらと情報量が多く、やたらとディテールにこだわる。で、これのよい
ところは要するにミクロな部分についてはものすごく造詣が深いところ。よく指摘される
ように古来からある日本文化はこの細部へのこだわりが特徴とされてきたものでもあるの
だけれど、これがオタク性のメリット。
ただし、立ち位置を変えて評価すれば全体=マクロが全然見えていないということでもある。
だから、細部に徹底的にこだわった結果、わけのわからないものをつくってしまうという
ことがしばしばあるのだ。いわゆる「木を見て森を見ず」という状況。ここ十年くらいの
メディア機器の失敗を例にあげてみよう。一つはケータイ。1999年、i-modeというスマホの
原点ともなるようなすばらしいシステムを開発したにもかかわらず、この技術を国内だけに
限定し、さらにこれに技術オタクたちがボコボコと機能をテンコ盛りにしていった結果、
奇っ怪でわけのわからない、そして使いこなすことが不可能な「全部盛りケータイ」という
ガラパゴス・ケータイが誕生し、最終的に技術的には低いiPhone(そしてその後のスマホ)
に全部持っていかれたということがあった。
最近だと家電で全然ヘタってしまっているテレビがある。2010年、サムソンやLGといった
韓国企業に価格面で押されている日本の家電メーカーが一発逆転を狙って3Dテレビを世に
問うた(もっともこの2メーカー、日本では全然売れていないが)。大画面化の競争は人件費等
で太刀打ちできない。だったら立体技術で先を行こうという発想だったのだけれど、こんな
ものは素人のレベルでも×だってことは簡単にわかる戦略だった。3Dのインフラもなければ
、需要もない。映画「アバター」が人気を博し、これの3Dがウケたというのがひょっとしたら
「テレビでもイケる」とカンちがいした原因かもしれない。ただし、その後の映画を見ても
わかるように、すべてが3D化することもなく、また3Dの映像にも慣れるに至って3Dテレビに
消費者が欲望を喚起されることはなかった。これまた、技術オタクの「木を見て森を見ない」
戦略の典型だった。
ビジネスオタクも同様だ。前述したテレビを例にあげれば、韓国・中国勢に押され、これに
対抗しようと同じ手段、つまり価格競争で対抗しようとするマヌケな戦略に出た。これも
絶対に勝てない戦いに、価格競争が始まったからといって場当たり的、局所的、オタク的に
対応した必然的結果だった。
ソース
http://blogos.com/article/64328/?axis=g:0
http://blogos.com/article/64340/?axis=g:0
(つづく)